関ト協 「標準運賃」設定を要望へ トラック事業者1万3346社の総意として」(物流WEEKLY)

 この20年、物流政策、なかでもトラック運送業で、もっとも、注目されるのは参入規制と運賃の議論だろう。ちなみに、私の大学時代のゼミの論文テーマでもある。無論、この手の議論に正解はない。最近、国交省内部では、雑談レベルでタリフの話も上がるらしいが、規制緩和のこの時代、時計の針を逆には戻せないだろうというのが現状なのだろう。
 私自身、規制緩和論者であるものの、中小・零細事業者の苦しみは良く解る。中小・零細事業者が大多数を占めるトラック運送業界は、ダンピング合戦に疲弊している。ゆえに、事業者の声に耳を傾けるならば、参入規制を厳しく、違法業者の摘発を、標準運賃設定をといった議論になるのは自然の流れではある。規制緩和論者の私も、政治家の立場で、声高に、更なる規制緩和を叫ぶ自信はない。

 しかし、批判を承知の上で言及するならば、運輸政策ではなく、“ビジネス”の観点でみれば、競争要因が「価格」になっている時点で、マーケットは縮小フェイズであるし、事業者自体の特筆すべき差別化要因がないことを意味している。事業参入が容易な分、縮小フェイズで苦悩するのは当然といえば当然のことだ。

 また、これらのテーマを論ずる際、「ゴーイングコンサーン」を錦の御旗に掲げる向きもあるが、「ゴーイングコンサーンすべきは御社なのか、それとも、お客様へのサービスの継続なのか」と問われれば、御社である必要は必ずしもない。営業譲渡、事業譲渡、あるいは、社員の転籍やADRなどで、お客様に迷惑を掛けない術は幾らでもある。

 物流業界をつぶさにみてきて、今の行政や政治家が唱える物流業界対策は、延命でこそあれ、根本的解決にはつながらない。一方、企業には、雇用という社会的意義もあるので、経営者の一存で事業を止めるというほど簡単な話ではない。

 物流業界の経営者が、「ビジネスは永遠ではない」と理解すれば早いのだが、叩き上げて成功してきた経営者が多く、過去の成功体験の呪縛から容易に逃れられない。

 個人的には、人間ドックと同様に、「ビジネスとしての将来性があるのか?」という視点、更には、「企業の現存価値を出すこと」が賢明だと思っている。そして、国が撤退のルールを構築することと、時限的に、事業撤退を促すことが、結果的には、不幸になる人を減らすことに繋がると感じる毎日である。