最近、小学生の絵日記ばりの緩〜いブログしか書いていないので、たまには、長い文章を書くことにする(笑)
先月、倉庫所有者注目の判決が下された。倉庫所有者(納税者)が納付してきた固定資産税の評価について、不服申し立て手続きを得ない還付請求も、国家賠償請求を行い得るとして、納税者の請求を棄却した高裁判決を最高裁が破棄(高裁に差し戻し)した。かなり掻い摘んでザックリといえば、倉庫所有者に、固定資産税に過払い分が還付される可能性があるというものだ。(詳細は、文末の引用部分(税務通信3118号)を参照)
先月、倉庫所有者注目の判決が下された。倉庫所有者(納税者)が納付してきた固定資産税の評価について、不服申し立て手続きを得ない還付請求も、国家賠償請求を行い得るとして、納税者の請求を棄却した高裁判決を最高裁が破棄(高裁に差し戻し)した。かなり掻い摘んでザックリといえば、倉庫所有者に、固定資産税に過払い分が還付される可能性があるというものだ。(詳細は、文末の引用部分(税務通信3118号)を参照)
減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年三月三十一日大蔵省令第十五号)第一条によると、倉庫の耐用年数は以下の通り定められている。
鉄骨鉄筋コンクリ造・鉄筋コンクリ造:冷蔵倉庫用21年 その他31年
れんが造・石造・ブロック造 :冷蔵倉庫用20年 その他30年
金属造(肉厚4mm超) :冷蔵倉庫用19年 その他26年
備考:冷蔵倉庫……「冷蔵倉庫用のもの」には、冷凍倉庫、低温倉庫及び氷の貯蔵庫の用に供される建物も含まれる。(昭49年直法2−71「36」により改正)
物流業界においては、その機能性から、「ドライ倉庫よりも冷蔵倉庫の方が価値が高い」といった感覚がある。例えていうならば、エアコンがないマンションよりもエアコン付きのマンションの方が付加価値があると感じるし、エアコン付き乗用車の方が付加価値が高いと感じるのと似たような感覚だろう。
しかしながら、固定資産税評価上の「耐用年数」に着目すると、冷蔵倉庫の方が耐用年数が短い分、価値の減り方(評価額の減少)が早いことになる。今回の判決は、冷蔵倉庫がドライ倉庫の評価で固定資産税が課税されていた(=過払い)という納税者の主張が認められたというものである。つまり、倉庫所有者は、課税を見直せば還付される可能性があることになる。
ここ最近、物流不動産(主に、倉庫などの物流施設)の固定資産税について、還付請求を支援するような不動産鑑定士絡みのサービスを見かけるようになってきた。物流施設といえども不動産(建築物)である以上、ある一定の考え方によってその資産価値は評価されることになるが、倉庫のスペックや緊急性、最終的には、利用者(借主)の用途によって、価値が大きく変わるという特徴がある。端的にいえば、“一物四価”的な側面(=借主の懐具合を見て価格が決まる傾向)があり、その客観的評価は極めて難しく、物流不動産を鑑定評価をできるプロも極めて限られている。
これまでも、倉庫業者のなかには、倉庫業の課税について、「寄託」か「坪貸し」かによって課税の仕方が異なるという通説はあるものの判断が異なる点などを指摘する声はあった。今回の固定資産税絡みの判決は、それらの点と一線を画すものではある。しかし、物流不動産ファンドなどの新しい業態の台頭もあり、倉庫廻りの課税について、統一された明確な基準がないことが顕在化しているように感じている。
3PL市場の拡大が叫ばれ、今後、CRE戦略的に物流不動産投資を希求する3PL事業者と、徹底的なノンアセット型を希求していく3PL事業者に二分化されることが予見されるなか、最早、「寄託」と「坪貸し」の線引きすら曖昧になってきているのが倉庫利用の実態ではないだろうか。
また、既に、実質的な制度そのものの意味合いが喪失し、社会的な意義すら失われている特積み事業者(特別積み合せ貨物運送事業)だけが、市街化調整区域や農業振興地域での開発許可が得られるといった実態は時代遅れであり、開発許可の免罪符としての意味合いしかない。
今回の最高裁判決を機に、倉庫所有者の固定資産税過払い分の還付請求が頻発するものと思われる。しかしながら、その対応を各自治体に委ねる現状は、倉庫業の社会的意義に鑑みムリがある。そして、何よりも、物流不動産市場の将来を見据えたとき、「固定資産税」だけにフォーカスするような税務上の解釈にとどまらず、事業免許と課税の整合性が取れた抜本的な制度の再構築が求められる時がきていると受け止めるべきである。
ご参考1
倉庫会社課題徴税、名古屋市が800万円支払い和解へ
(日本経済新聞・2010.07.22)
固定資産税過大徴収賠償:過納1177万円の還付、神戸市に命じる−−地裁 /兵庫
(毎日新聞・2010.07.01)
国税不服審判所 耐用年数
ご参考2 税務通信 3118号 2010年06月14日より引用
最高裁 2010年06月03日(平成21年(受)1338号)
最高裁 不服申立手続きを経ない固定資産税の還付請求で注目判決
国家賠償請求を行い得るとして原判決を破棄し名古屋高裁に差戻し
補足意見では租税訴訟と国賠請求訴訟の立証責任論にまで言及
________________________________________
倉庫の固定資産税等を納付してきた納税者が,その倉庫の評価が違法であることから,国家賠償請求を行ったことに対し,不服申立手続きを経ない国家賠償請求の是非が争点となった訴訟で,最高裁は,納税者の請求を棄却した原判決を破棄し,名古屋高裁に差し戻す判決を行った(平成22年6月3日判決言渡 平成21(受)1338)。
これは,冷凍倉庫等を,冷凍倉庫等よりも高く評価される一般の倉庫等に該当するとして高い評価を行い,多く徴収された固定資産税について,直近の5年分は還付されたものの,納税者側が国家賠償法に基づき20年分遡るとして,地方税法に規定される不服申立手続き等を経ずに,さらに15年分の返還請求をしていた事案。
最高裁第一小法廷は,公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背し,納税者が被害を被ったときは,地方税に規定される審査の申出,取消訴訟等の手続きを経るまでもなく,国家賠償請求を行い得るものと解すべきとして,納税者の請求を認めなかった原判決を破棄,名古屋高裁に差し戻すのが相当との判断を示している。
不服申立手続きを経ない賠償請求が争点に
事案において,市は,冷凍倉庫等を,一般用の倉庫等に該当することを前提に高く評価,納税者は,この評価に基づいて固定資産税を納付してきたが,その後,市は,倉庫は冷凍倉庫等に該当するとして,登録価格を修正し,直近の5年分については減額更正し差額を還付した。
これに対し,納税者は,国家賠償法に基づいて,還付された直近の5年分だけでなく,さらに15年分遡って固定資産税等の過納金等について損害賠償等を求め,訴訟を提起。
名古屋高裁は,国家賠償法に基づいて固定資産税等の過納金相当額を損害とする損害賠償請求を許容することは,実質的に,課税処分を取り消すことなく過納金の還付を請求することを認めたのと同一の効果を生じると判断。
そして,課税処分や登録価格の不服申立方法及び期間を制限してその早期確定を図った地方税法の趣旨を潜脱するばかりか,課税処分の公定力をも実質的に否定することになって妥当ではないとし,納税者側の請求を棄却した。
最高裁は国家賠償請求を行い得ると判示
高裁の判決を不服とする納税者は,最高裁に上告し,今般,最高裁は,この名古屋高裁の判決を破棄し,差し戻しを命じる判決を行った。
最高裁は,「たとい固定資産の価格の決定及びこれに基づく固定資産税等の賦課決定に無効事由が認められない場合であっても,公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは,これによって損害を被った当該納税者は, 地方税法432条 1項本文に基づく審査の申出及び 同法434条 1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。」と判決で示している。
さらに,補足意見として金築誠志裁判官は,取消しを経ないで課税額を損害とする国家賠償請求を認めた場合の立証責任の問題について,課税処分の取消訴訟においては,課税主体である課税当局側に立証責任があることになるのに対し,国家賠償訴訟においては,違法性を積極的に根拠付ける事実については納税者側に立証責任があるとしており,注目される。
引用終わり
鉄骨鉄筋コンクリ造・鉄筋コンクリ造:冷蔵倉庫用21年 その他31年
れんが造・石造・ブロック造 :冷蔵倉庫用20年 その他30年
金属造(肉厚4mm超) :冷蔵倉庫用19年 その他26年
備考:冷蔵倉庫……「冷蔵倉庫用のもの」には、冷凍倉庫、低温倉庫及び氷の貯蔵庫の用に供される建物も含まれる。(昭49年直法2−71「36」により改正)
物流業界においては、その機能性から、「ドライ倉庫よりも冷蔵倉庫の方が価値が高い」といった感覚がある。例えていうならば、エアコンがないマンションよりもエアコン付きのマンションの方が付加価値があると感じるし、エアコン付き乗用車の方が付加価値が高いと感じるのと似たような感覚だろう。
しかしながら、固定資産税評価上の「耐用年数」に着目すると、冷蔵倉庫の方が耐用年数が短い分、価値の減り方(評価額の減少)が早いことになる。今回の判決は、冷蔵倉庫がドライ倉庫の評価で固定資産税が課税されていた(=過払い)という納税者の主張が認められたというものである。つまり、倉庫所有者は、課税を見直せば還付される可能性があることになる。
ここ最近、物流不動産(主に、倉庫などの物流施設)の固定資産税について、還付請求を支援するような不動産鑑定士絡みのサービスを見かけるようになってきた。物流施設といえども不動産(建築物)である以上、ある一定の考え方によってその資産価値は評価されることになるが、倉庫のスペックや緊急性、最終的には、利用者(借主)の用途によって、価値が大きく変わるという特徴がある。端的にいえば、“一物四価”的な側面(=借主の懐具合を見て価格が決まる傾向)があり、その客観的評価は極めて難しく、物流不動産を鑑定評価をできるプロも極めて限られている。
これまでも、倉庫業者のなかには、倉庫業の課税について、「寄託」か「坪貸し」かによって課税の仕方が異なるという通説はあるものの判断が異なる点などを指摘する声はあった。今回の固定資産税絡みの判決は、それらの点と一線を画すものではある。しかし、物流不動産ファンドなどの新しい業態の台頭もあり、倉庫廻りの課税について、統一された明確な基準がないことが顕在化しているように感じている。
3PL市場の拡大が叫ばれ、今後、CRE戦略的に物流不動産投資を希求する3PL事業者と、徹底的なノンアセット型を希求していく3PL事業者に二分化されることが予見されるなか、最早、「寄託」と「坪貸し」の線引きすら曖昧になってきているのが倉庫利用の実態ではないだろうか。
また、既に、実質的な制度そのものの意味合いが喪失し、社会的な意義すら失われている特積み事業者(特別積み合せ貨物運送事業)だけが、市街化調整区域や農業振興地域での開発許可が得られるといった実態は時代遅れであり、開発許可の免罪符としての意味合いしかない。
今回の最高裁判決を機に、倉庫所有者の固定資産税過払い分の還付請求が頻発するものと思われる。しかしながら、その対応を各自治体に委ねる現状は、倉庫業の社会的意義に鑑みムリがある。そして、何よりも、物流不動産市場の将来を見据えたとき、「固定資産税」だけにフォーカスするような税務上の解釈にとどまらず、事業免許と課税の整合性が取れた抜本的な制度の再構築が求められる時がきていると受け止めるべきである。
ご参考1
倉庫会社課題徴税、名古屋市が800万円支払い和解へ
(日本経済新聞・2010.07.22)
固定資産税過大徴収賠償:過納1177万円の還付、神戸市に命じる−−地裁 /兵庫
(毎日新聞・2010.07.01)
国税不服審判所 耐用年数
ご参考2 税務通信 3118号 2010年06月14日より引用
最高裁 2010年06月03日(平成21年(受)1338号)
最高裁 不服申立手続きを経ない固定資産税の還付請求で注目判決
国家賠償請求を行い得るとして原判決を破棄し名古屋高裁に差戻し
補足意見では租税訴訟と国賠請求訴訟の立証責任論にまで言及
________________________________________
倉庫の固定資産税等を納付してきた納税者が,その倉庫の評価が違法であることから,国家賠償請求を行ったことに対し,不服申立手続きを経ない国家賠償請求の是非が争点となった訴訟で,最高裁は,納税者の請求を棄却した原判決を破棄し,名古屋高裁に差し戻す判決を行った(平成22年6月3日判決言渡 平成21(受)1338)。
これは,冷凍倉庫等を,冷凍倉庫等よりも高く評価される一般の倉庫等に該当するとして高い評価を行い,多く徴収された固定資産税について,直近の5年分は還付されたものの,納税者側が国家賠償法に基づき20年分遡るとして,地方税法に規定される不服申立手続き等を経ずに,さらに15年分の返還請求をしていた事案。
最高裁第一小法廷は,公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背し,納税者が被害を被ったときは,地方税に規定される審査の申出,取消訴訟等の手続きを経るまでもなく,国家賠償請求を行い得るものと解すべきとして,納税者の請求を認めなかった原判決を破棄,名古屋高裁に差し戻すのが相当との判断を示している。
不服申立手続きを経ない賠償請求が争点に
事案において,市は,冷凍倉庫等を,一般用の倉庫等に該当することを前提に高く評価,納税者は,この評価に基づいて固定資産税を納付してきたが,その後,市は,倉庫は冷凍倉庫等に該当するとして,登録価格を修正し,直近の5年分については減額更正し差額を還付した。
これに対し,納税者は,国家賠償法に基づいて,還付された直近の5年分だけでなく,さらに15年分遡って固定資産税等の過納金等について損害賠償等を求め,訴訟を提起。
名古屋高裁は,国家賠償法に基づいて固定資産税等の過納金相当額を損害とする損害賠償請求を許容することは,実質的に,課税処分を取り消すことなく過納金の還付を請求することを認めたのと同一の効果を生じると判断。
そして,課税処分や登録価格の不服申立方法及び期間を制限してその早期確定を図った地方税法の趣旨を潜脱するばかりか,課税処分の公定力をも実質的に否定することになって妥当ではないとし,納税者側の請求を棄却した。
最高裁は国家賠償請求を行い得ると判示
高裁の判決を不服とする納税者は,最高裁に上告し,今般,最高裁は,この名古屋高裁の判決を破棄し,差し戻しを命じる判決を行った。
最高裁は,「たとい固定資産の価格の決定及びこれに基づく固定資産税等の賦課決定に無効事由が認められない場合であっても,公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは,これによって損害を被った当該納税者は, 地方税法432条 1項本文に基づく審査の申出及び 同法434条 1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。」と判決で示している。
さらに,補足意見として金築誠志裁判官は,取消しを経ないで課税額を損害とする国家賠償請求を認めた場合の立証責任の問題について,課税処分の取消訴訟においては,課税主体である課税当局側に立証責任があることになるのに対し,国家賠償訴訟においては,違法性を積極的に根拠付ける事実については納税者側に立証責任があるとしており,注目される。
引用終わり

