今週は、2年前の08年8月に書いた「日雇い派遣体験記」(全7回)をアーカイブでご紹介しています。

日雇い派遣体験記(1) −ターミナル駅に集合−

 先日、東京ベイエリアにある某大手路線会社のターミナル拠点に、日雇い派遣労働者として潜入してきた。以下、数回に分けて、当日の様子をレポートしたい。

日雇派遣体験記_01 派遣会社から指定された集合時間より早く最寄り駅に到着。仕事に入ったら、帰りまで喫煙できないだろうと思い、ホームにある喫煙所で一服。喫煙を終え、集合場所であるターミナル駅の時計台に行くと、同じ現場に出向くと思われる数名の人がいる。互いに、話をしている風でもないので、取り敢えず、集合時間まで待ってみることに。
 集合時間の13:00になる。すると、何処からともなく、点呼を取る派遣スタッフが現れる。年のころは二十代半ば。見るからにフリーター風のガッチリとした体格の青年である。その青年は、「○○社の方ですか?」と、派遣会社の名前を口にした。この行動から、派遣労働者が、自身がどこの派遣会社から派遣されてきているのかを認識することができる。

 1名ほど、集合時刻に来ていないらしく、その場で待機することに。その間、携帯電話をチェックすると、派遣会社から着信があったことに気づく。そう言えば、出掛けに、派遣会社に一報を入れるように指示されていたが、仕事の電話に追われてスッカリ忘れていた。即座に、派遣会社に電話を入れ、集合時間に間に合ったことを報告する。結局、1名は現れず、そのままバスターミナル側に移動することに。移動を始めても、集合場所に来た人たち同士の会話はない。

 ターミナル駅と並行して走る道路沿いには、既に、数十名ほどの行列ができている。この全てが同じ現場に行くのかと思いながら観察していると、1台のバスが目の前に止まった。このバスに乗るのかと思いながら、点呼役スタッフの指示を待っていると、何も言う気配はない。そのバスが出たとき、自分が乗るバスではないことに気づく。一時期、このターミナル駅が最寄りの会社に勤務していたが、この道路沿いが、各現場に行く人たちの乗降場所であることを知らなかった。

日雇い派遣体験記_02 奏功するうちに、派遣先企業のキャラクターが描かれた1台のバスが遠くで止まる。出発時間数分前だったため、すぐに、乗るのかと思っていたら、出発時間調度に、エンジンをかけ始め、目の前で止まった。バスに乗るために行列している人数を数えてみたら、40〜50名。見たところ、約20%が女性である。このバスには、日雇い派遣労働者のみならず、物流会社直用のパート・アルバイトも乗るため、誰が、日雇い派遣会社から派遣されたスタッフなのかを特定することはできない。

 バスに乗り込む人たちは、見たところ、幾つかのパターンに分類できると思った。一つは、フリーターのような感じの人たち、もう一つは、夏休み期間にアルバイトできているような人たち、そして、やや年配の人たち。それぞれ、見た目の年齢や服装、待ち時間の仕草から、"現場慣れ"度合いが醸し出されているように感じる。

 前者は、特段、何をする訳でもなく待っている人が多いが、後者は、手に参考書や趣味の本を持ち読むなどしている。ちなみに、当日の筆者の服装は、白いカーゴパンツに濃紺のポロシャツ。物流現場で働くには多少微妙な格好だが、仕事終了時に、どれくらい汚れるのかを測定し易くするために、敢えて、汚れが目立つようにしておいた。

 13:33にバスが発車し、約20分ほど揺られてその日の現場に辿り着く。当日の現場である大手路線会社のターミナルは、物流倉庫が乱立するエリア。日頃、物流施設を回る筆者にとっては見慣れた光景である。現場に辿り着くと、全員が、施設2階にある「休憩室」に入る。休憩室に入ると、現場社員から、当日の就労状況を示す「就業確認書」を提出するよう促される。現場社員は、「確認書」と略して読んでいた。「就業確認書」には、作業日、氏名、(派遣会社の)登録番号、会社名(派遣先企業名)、作業予定時間などを記入するようになっている。仕事終了後、派遣先企業の印鑑が押された「就業確認書」を派遣会社に持っていき、報酬を受け取る仕組みだ。

 休憩室で、就業確認書をもとに、作業現場の割り振りを行う。その際、現場社員が「今日が、現場はじめての人?」と声をかけ、現場に慣れた労働者と新参者のバランスを取りながら配置が決められる。