室岡_04
 今回の帰省の主目的は墓参り。九州自動車道八女インターの近く、高速道路の脇が父方の故郷だ。福岡県「八女市室岡(やめしむろおか)」と呼ばれるこの地が私の本籍地でもある。当日、ウッカリしており、今では、高速道路建設のため立ち退き、幾ばくかの残地を残すのみとなった本籍地と、納骨堂の写真を撮影し忘れた。(※写真は「岡山山頂」より)


室岡_03 今年正月、父から携帯に届いたメールに、「実家のお墓(室岡)にお参りし、その後、故郷唯一の山(標高約48m)岡山山(おかやまさん)にある内神さんの熊野神社にお参りしました。内神さんの熊野神社は、お母さんと結婚して挙式を済ませ、披露宴までの時間を利用して、二人で最初にお参りに行った神社です。」という一文があった。ふと、「そう言えば登ったことないな」と思い立ち、自身のルーツであるこの地を訪れてみることにした。

室岡_08 父のメールにもある通り、“山”といっても、標高僅か48メートル。平野部のこの地で、その高さは、実質的に5〜6階建てのマンションの最上階といったところだろうか。「岡山」という名前にある通り、寧ろ、小高い“丘”という方が適切だろう。訪れる前、“単なる茂み”のような場所を想定していたが、キレイに整備された公園(岡山公園)であることを知り驚いた。

室岡_06 山頂へと向かう道程には、この地に生まれた政治家“稲富稜人”(故人)の銅像がそびえ立つ。銅像の横の説明書きに、「健全なる国家は健全なる農村があってこそ築かれる」と記されている。21世紀の現在、都会の価値観でこの一文を批判することはたやすいことだが、同時に、言わんとすることを推し量りたい思いもある。そういった思いから、改めて、“農政”に関心がある自身のルーツを再認識した瞬間であった。

室岡_02 岡山山頂には、「我が国は 筑紫の国や 白日分 母います国 櫨多き国」(わがくには つくしのくにや しらひわけ ははいますくに はぜおおきくに)と書かれた『海の幸』で知られる画伯“青木繁”の石碑があった。傍らの説明書きによると、この歌は、この地に住む母に捧げた望郷歌だそうだ。ちなみに、この石碑の文字は、坂本繁二郎のもの。青木繁はこの山頂で「画壇のアレキサンダー大王になる」との誓いをたてたそうだ。

 今回の帰省は、全く知らなかった自身のふるさとの足跡を訪ねる貴重な機会であった。