連日報道されている“守屋前次官の収賄疑惑”報道。先の証人喚問で“バッチ”(政治家の意味)の名前も飛び出し、これで「贈収賄事件」という検察ショーの舞台役者は出揃った感もある。
にもかかわらず、釈然としない思いが残るのは何故だろうか?
にもかかわらず、釈然としない思いが残るのは何故だろうか?
確かに、巨大利権官庁高官の「特定の業者との何百回にも渡るゴルフ」。このご時世、普通の国民感情と照らし合わせると、明らかに“浮世離れ”した別世界。官僚天国日本を象徴する出来事ではある。“倫理観”という点からは、許されざるべきことだ。
しかし、この“ゴルフ接待”をして、マスコミや政治家が、鬼の首を獲ったように騒ぎ立てている現状は、正直、片腹痛い。真実を追究することを正義とする“メディア”という権力者としては、些か、本質を見失っているのではないだろうか?
あまり知られていることではないが、東京地検に逮捕されている山田洋行元専務の宮崎元伸容疑者は、私の同郷、久留米市立南筑高校の出身。そのような背景から、事件が噂され始めた頃、とあるメディアから「同校の卒業名簿を持っていないか?」という問い合わせを受けたことがある。
今回の事件は、宮崎容疑者を一人のキーマンとして捜査が進行しているものの、個人的には、宮崎人脈の中で、何故、守屋前次官にフォーカスされているのか理解できない部分がある。
既存のメディア報道を忘れて冷静に考えてみて欲しい。
防衛専門商社の営業マンとして宮崎容疑者を見ると、相応に、実力がある人物であることがわかる。例えば、(他にも防衛庁出世頭に目星をつけていたとは言え)あれだけの人数がいる課長時代から守屋氏(=出世頭)を見初めていた眼力、抵抗感無くズブズブの関係に持ち込む食い込み度。
昨今、キーマンを見抜き、人的関係を形成する優秀な営業マンが少ないなか、営業マンとしてはセオリーに忠実な動きをしている。ここ数年、古巣の山田洋行とのトラブルはあるにせよ、営業マンとしては、実に、堅実な仕事をしているのではないだろうか。
上記二つのパラグラフを読んで、「確かに…」という感想をお持ちになられた方は、“防衛産業の構造”を理解してはいないことを意味する。
そもそも、防衛産業、中でも、今般話題に上がっている輸送機のエンジンなどという代物は、防衛省高官に営業をかけて仕留める話ではなく、エンジン製造メーカーのキーマンを陥落して初めて日本国内の代理店として機能するため、防衛商社にとっての“本丸”は、エンジンメーカー(今回の事件では「GE」)幹部、担当者、あるいは、アメリカ防衛産業に発言権のあるロビイストである。
一部、報道に見られるように、宮崎容疑者は、アメリカサイドに対して、「日本防衛産業の顔役であること」を誇示するために、防衛省高官の“守屋前次官”をお守り代わりに利用したに過ぎない。政治家もまたしかりである。
ビジネスの観点で考えれば、至極当然のことであると思うが、防衛商社、中でも、輸送機のエンジンを取り扱う担当の営業マンの立場で言えば、国内の防衛官庁に食い込むことよりも、寧ろ、エンジンメーカー、あるいは、アメリカの防衛産業の重鎮に食い込むことの方が、(代理店であることでビジネスは成立するので)遥かに重要な要素であるし、基本的に、アメリカと統一歩調をとるわが国の防衛政策の基本原則に照らし合わせて見ると、自然な動きであるとも言える。
つまり、今回の疑惑でフォーカスすべきは、国内の防衛省の人的要素ではなく、アメリカの防衛産業(軍産複合体)とその周辺で跋扈する関係者と日本の防衛商社の人的関係、更には、基本的に“競争原則が無い”国内防衛産業の構造的問題である。国内の話でカタがつくような建設談合のような話とは根本的に利権の構造が異なる。
にも関わらず、守屋前次官、あるいは、宮崎容疑者と宴席で同席した政治家の名前報道に終始するメディアの見識を理解できない。何故ならば、“問題”ではあるにせよ、本質にメスを入れたことにはならないからだ。
また、ゴルフ接待が“世間の感覚とかけ離れている”とは言え、数年間で数百回に渡っている、つまり“わいろ性が分散”されている状況下の立件は、果たして可能なのだろうか?
現在、東京地検特捜部の事務官は、血眼になってゴルフ接待以外の金品の授受、平ていに言えば、“公判でわいろ性を立証できる証拠”を探していることは容易に想像される。そして、他の証拠が出てくるか否かで、事件の立て方が異なってくる。
今までの高検の判断をみても、継続性のある接待とは言え、“ゴルフ接待”だけでわいろ性を立証するのは、事件捜査、及び、公判のテクニックとして少し乱暴ではないだろうか。
さりながら、“東京地検特捜部”が着手したからには、最低、守屋前次官のクビを獲らなければ、特捜検察の名折れになってしまう。ゆえに、力づくでも、ガラを抑えることは必死。
国会日程(衆参の証人喚問)が終了しているので、東京地検特捜部は、週明けにも“守屋前次官”の身柄を拘束するのではないだうか。また、一般論として言われる“年内起訴”の原則からしても、遅くとも、12月3日の週までに身柄を拘束しなければ、年内起訴はタイムスケジュール的に難しいのではないだろうか。
一方で、注目を集め始めているバッチ(政治家)の関与。おそらく、週明けから、政治関係者に参考人としての聴取を始めるものと思われますが、果たして、タイムスケジュール的に間に合うのだろうか。
また、国会再延長が噂される中、逮捕許諾請求をしてまで、バッチのガラを獲るだけの証拠を押さえているとは、現段階で考えにくい。同様に、会合に同席した政治家の参考人召致、証人喚問をめぐる与野党の駆け引きが、微妙に、捜査スケジュールの障害になってくる。
話が末節に触れてしまったが、今回の事件の問題の本質は、アメリカの防衛産業との関係性そのものにある。しかし、泣く子も黙る“東京地検特捜部”とは言え、国際関係最大のタブーにまで切り込む力は無い。にもかかわらず、国内の関係性、即ち、守屋前次官と防衛省(庁)トップ(大臣・長官)経験者だけに着目して、“構造的問題”と称するのは、あまりに事件を矮小化しすぎているのではないだろうか。
さりながら、日米関係重視の観点(=アメリカとゴタゴタを起こしたくないとの理由)から、“本質的な構造的問題”に切り込まないのは、一つの選択肢(政治判断)ではないかと思う。だとするならば、初めから、東京地検特捜部は、今回の問題に切り込むべきではない。確たる証拠がないのだとするならば尚更のことである。
とにかく、今回の事件は、捜査初動から腑に落ちないことが多い。
具体的には、民事訴訟において係争中である事案にもかかわらず刑事事件に着手したこと、今回の事件が利害関係者と関係のある弁護士(ヤメ検)の持込事件であるとの噂があること、特捜部が何ヶ月も内偵捜査をしていたにも関わらず(報道されている範囲では)“決め手”の証拠にかけること(=内偵捜査に大量の人員を投じたことで引くに引けなくなった?)、捜査状況から最終ターゲットが見えないこと(通常、バッチを狙うなら、宮崎容疑者(贈賄側)のガラは抑えないか、あるいは、ガラを押さえてもバーターで“肝”を吐かせる)…etc.
個人的には、今回の事件は、メディア報道にともなう世論の動きを気にしすぎているのではないかと感じるとともに、捜査着手以前に立てたストーリが甘く、最終的な落とし所も見えていないのではないだろうかとの懸念を抱く。
と同時に、イラク給油問題が吹き荒れる政治状況ゆえ、その他の防衛利権に絡む疑惑を一緒くたに議論することにより、問題の本質が見え辛くなっている。
コントロールタワー不在の“守屋前次官の収賄疑惑”捜査は、今後、何処まで迷走を続けるのだろうか。
兎にも角にも、中途半端な報道や捜査で、事件が矮小化されている現状を、大いに危惧する。
しかし、この“ゴルフ接待”をして、マスコミや政治家が、鬼の首を獲ったように騒ぎ立てている現状は、正直、片腹痛い。真実を追究することを正義とする“メディア”という権力者としては、些か、本質を見失っているのではないだろうか?
あまり知られていることではないが、東京地検に逮捕されている山田洋行元専務の宮崎元伸容疑者は、私の同郷、久留米市立南筑高校の出身。そのような背景から、事件が噂され始めた頃、とあるメディアから「同校の卒業名簿を持っていないか?」という問い合わせを受けたことがある。
今回の事件は、宮崎容疑者を一人のキーマンとして捜査が進行しているものの、個人的には、宮崎人脈の中で、何故、守屋前次官にフォーカスされているのか理解できない部分がある。
既存のメディア報道を忘れて冷静に考えてみて欲しい。
防衛専門商社の営業マンとして宮崎容疑者を見ると、相応に、実力がある人物であることがわかる。例えば、(他にも防衛庁出世頭に目星をつけていたとは言え)あれだけの人数がいる課長時代から守屋氏(=出世頭)を見初めていた眼力、抵抗感無くズブズブの関係に持ち込む食い込み度。
昨今、キーマンを見抜き、人的関係を形成する優秀な営業マンが少ないなか、営業マンとしてはセオリーに忠実な動きをしている。ここ数年、古巣の山田洋行とのトラブルはあるにせよ、営業マンとしては、実に、堅実な仕事をしているのではないだろうか。
上記二つのパラグラフを読んで、「確かに…」という感想をお持ちになられた方は、“防衛産業の構造”を理解してはいないことを意味する。
そもそも、防衛産業、中でも、今般話題に上がっている輸送機のエンジンなどという代物は、防衛省高官に営業をかけて仕留める話ではなく、エンジン製造メーカーのキーマンを陥落して初めて日本国内の代理店として機能するため、防衛商社にとっての“本丸”は、エンジンメーカー(今回の事件では「GE」)幹部、担当者、あるいは、アメリカ防衛産業に発言権のあるロビイストである。
一部、報道に見られるように、宮崎容疑者は、アメリカサイドに対して、「日本防衛産業の顔役であること」を誇示するために、防衛省高官の“守屋前次官”をお守り代わりに利用したに過ぎない。政治家もまたしかりである。
ビジネスの観点で考えれば、至極当然のことであると思うが、防衛商社、中でも、輸送機のエンジンを取り扱う担当の営業マンの立場で言えば、国内の防衛官庁に食い込むことよりも、寧ろ、エンジンメーカー、あるいは、アメリカの防衛産業の重鎮に食い込むことの方が、(代理店であることでビジネスは成立するので)遥かに重要な要素であるし、基本的に、アメリカと統一歩調をとるわが国の防衛政策の基本原則に照らし合わせて見ると、自然な動きであるとも言える。
つまり、今回の疑惑でフォーカスすべきは、国内の防衛省の人的要素ではなく、アメリカの防衛産業(軍産複合体)とその周辺で跋扈する関係者と日本の防衛商社の人的関係、更には、基本的に“競争原則が無い”国内防衛産業の構造的問題である。国内の話でカタがつくような建設談合のような話とは根本的に利権の構造が異なる。
にも関わらず、守屋前次官、あるいは、宮崎容疑者と宴席で同席した政治家の名前報道に終始するメディアの見識を理解できない。何故ならば、“問題”ではあるにせよ、本質にメスを入れたことにはならないからだ。
また、ゴルフ接待が“世間の感覚とかけ離れている”とは言え、数年間で数百回に渡っている、つまり“わいろ性が分散”されている状況下の立件は、果たして可能なのだろうか?
現在、東京地検特捜部の事務官は、血眼になってゴルフ接待以外の金品の授受、平ていに言えば、“公判でわいろ性を立証できる証拠”を探していることは容易に想像される。そして、他の証拠が出てくるか否かで、事件の立て方が異なってくる。
今までの高検の判断をみても、継続性のある接待とは言え、“ゴルフ接待”だけでわいろ性を立証するのは、事件捜査、及び、公判のテクニックとして少し乱暴ではないだろうか。
さりながら、“東京地検特捜部”が着手したからには、最低、守屋前次官のクビを獲らなければ、特捜検察の名折れになってしまう。ゆえに、力づくでも、ガラを抑えることは必死。
国会日程(衆参の証人喚問)が終了しているので、東京地検特捜部は、週明けにも“守屋前次官”の身柄を拘束するのではないだうか。また、一般論として言われる“年内起訴”の原則からしても、遅くとも、12月3日の週までに身柄を拘束しなければ、年内起訴はタイムスケジュール的に難しいのではないだろうか。
一方で、注目を集め始めているバッチ(政治家)の関与。おそらく、週明けから、政治関係者に参考人としての聴取を始めるものと思われますが、果たして、タイムスケジュール的に間に合うのだろうか。
また、国会再延長が噂される中、逮捕許諾請求をしてまで、バッチのガラを獲るだけの証拠を押さえているとは、現段階で考えにくい。同様に、会合に同席した政治家の参考人召致、証人喚問をめぐる与野党の駆け引きが、微妙に、捜査スケジュールの障害になってくる。
話が末節に触れてしまったが、今回の事件の問題の本質は、アメリカの防衛産業との関係性そのものにある。しかし、泣く子も黙る“東京地検特捜部”とは言え、国際関係最大のタブーにまで切り込む力は無い。にもかかわらず、国内の関係性、即ち、守屋前次官と防衛省(庁)トップ(大臣・長官)経験者だけに着目して、“構造的問題”と称するのは、あまりに事件を矮小化しすぎているのではないだろうか。
さりながら、日米関係重視の観点(=アメリカとゴタゴタを起こしたくないとの理由)から、“本質的な構造的問題”に切り込まないのは、一つの選択肢(政治判断)ではないかと思う。だとするならば、初めから、東京地検特捜部は、今回の問題に切り込むべきではない。確たる証拠がないのだとするならば尚更のことである。
とにかく、今回の事件は、捜査初動から腑に落ちないことが多い。
具体的には、民事訴訟において係争中である事案にもかかわらず刑事事件に着手したこと、今回の事件が利害関係者と関係のある弁護士(ヤメ検)の持込事件であるとの噂があること、特捜部が何ヶ月も内偵捜査をしていたにも関わらず(報道されている範囲では)“決め手”の証拠にかけること(=内偵捜査に大量の人員を投じたことで引くに引けなくなった?)、捜査状況から最終ターゲットが見えないこと(通常、バッチを狙うなら、宮崎容疑者(贈賄側)のガラは抑えないか、あるいは、ガラを押さえてもバーターで“肝”を吐かせる)…etc.
個人的には、今回の事件は、メディア報道にともなう世論の動きを気にしすぎているのではないかと感じるとともに、捜査着手以前に立てたストーリが甘く、最終的な落とし所も見えていないのではないだろうかとの懸念を抱く。
と同時に、イラク給油問題が吹き荒れる政治状況ゆえ、その他の防衛利権に絡む疑惑を一緒くたに議論することにより、問題の本質が見え辛くなっている。
コントロールタワー不在の“守屋前次官の収賄疑惑”捜査は、今後、何処まで迷走を続けるのだろうか。
兎にも角にも、中途半端な報道や捜査で、事件が矮小化されている現状を、大いに危惧する。































