7月10日の日経金融新聞に「◆収益向上に挑む(上)キャンパス、フル活用――含み益生かし、賃貸オフィス(大学)」という記事が掲載されていました。先週、今週と青学に行く機会があり、たまたま、これと似たような話をしたので、私の中ではホットなニュースです。青学大は、言わずもがな青山の一等地(住所は「渋谷」)に立地。少子化の時代、大学とて「教育事業」単体での経営は難しいもの。今後、大学の“事業センス”も問われる時代が来るのかもしれませんね。「大学がSPCを作る時代…」、ふと、そんなことを思ったものでご紹介させて頂きました。

 青学キャンパス、是非、“証券化”にトライして欲しいものです♪
「◆収益向上に挑む(上)キャンパス、フル活用――含み益生かし、賃貸オフィス(大学)」(日経金融新聞)(以下、転載)

 青学大、複合ビル計画 地価・賃貸料の上昇に乗って、資産運用に積極的な首都圏の私立大学を中心に不動産ビジネスが広がっている。膨大な保有資産の含み益を生かして資金を調達し、キャンパス用地の一角にオフィスビルや商業施設を建設する例が多い。不動産の証券化や土地信託を試みる大学も出始めたが、高い運用収益と背中合わせのリスクをどこまで厳格に管理できるか。課題もある。

 高級ブランドの店舗が並ぶ東京・渋谷。都心の超一等地に本部キャンパスを構える青山学院大学で今、敷地内に高層ビルを建設する計画が浮上している。教育研究棟とオフィスビルの複合施設を予定している。「欧米企業の日本法人など有力テナントを誘致すれば大学財政に一役買う」(久武雅志・常務理事)との目算だ。

初の証券化検討

 借入金を増やして大規模なビルを建てると大学の財務体質が悪化する恐れがあるため、特別目的会社(SPC)を設立して物件をバランスシートから切り離す検討も進んでいる。実現すれば国内では初の大規模なキャンパス証券化になる。

 東京・赤坂の迎賓館近くで六階建てオフィスビルを営むのは上智大学。年間二億五千万円の賃料収入があり、このうち一億五千万円を大学に繰り入れている。周辺の不動産市況はうなぎ登りで、ビルを十階建てに建て替える計画が進んでいる。十階建てになれば賃料収入は十億円と現在の四倍に増える見通し。「少子化時代には貴重な自主財源」(小瀬垣利幸・財務担当理事)と位置づけ、近く具体策を詰める。

長期計画に課題

 慶応義塾大学も第一生命保険と共同でビル事業を展開する。こうした積極運用を支えるのが膨大な土地の含み益だ。財産目録などを基に東京都内にある各大学の主要キャンパス一平方メートルあたりの簿価を試算したところ、早稲田大学の八千百円をはじめ、青山学院大学は四万一千五百円、慶応義塾大学は五万八千百円だった。現在の地価からみると伝統校中心に含み益が厚く、優良な資産を持つ大学ほど資金を低コストで調達しやすい。数億円規模の調達ならば金融機関から無担保で借り入れ可能なケースもあるという。大学の信用力はテナントの募集でもプラスに作用する可能性が高い。

 ただ不動産の有効活用は高いリターンを期待できる半面、運用が本業でない大学にとって中長期的な収益計画を定めるのは至難の業。例えば早稲田大学の事例がそう。キャンパスの一部用地を住友信託銀行に信託し都市型ホテルを誘致したが、ホテル開業がバブル崩壊後の一九九四年だったこともあり軌道に乗らず、九八年に賃料を大幅値下げした経緯がある。大学は年間七億六千五百万円と一見巨額の不動産事業収入を得ているが、それでも計画当初の見込みを下回ったままだ。

 国内景気の回復を受けホテルに客足が戻り始めた今、十年ぶりの賃料改定に踏み切れるかどうか、大学にとって課題となっている。

主な大学の不動産ビジネス
    
大学名/主な事業内容/2007年度収益見通し
早稲田/住友信託に土地を信託しホテル誘致/7億6500万円
慶応/第一生命と賃貸ビル事業展開/4億1000万円
上智/賃貸ビル事業展開。収入増に向け改築検討/2億5000万円
青山/ホール経営に加え、複合施設の建設検討/2億3200万円
立教/教室貸し出しが中心。学内の教会で婚礼事業も/9300万円

不動産運用、地方、都心と格差優良資産やノウハウ不足

 大学が保有する不動産は有効な収益源となりうる。格付け機関も「有効な資産を生かし、収益源を多様化するのは基本的にポジティブ」(スタンダード・アンド・プアーズの吉村真木子アナリスト)と評価する。ただ、こうした積極運用に乗り出すのは首都圏の伝統校に限られ、地方の大学では取り組みが遅れているのが実情。教育用不動産でないと特例措置が受けられないなど、税制面での制約もある。

含み益のある優良な不動産を持つのは都市部の大学が中心。

 地価上昇の恩恵も得やすい。一方、地方の大学は生き残り競争が厳しくなっているにもかかわらず、「収益を上げて証券化に堪えるような資産がない」(宮崎市の南九州大学)。こうした事情から地方では、不動産を収益源として生かす動きは乏しい。

 新潟薬科大学は「有効な資金調達手段だが教職員がノウハウを習熟するのにコストがかかる」とも打ち明ける。結果的に「大学間で資産運用の二極化が進んでいる」(日本私立学校振興・共済事業団の西井泰彦・私学経営相談センター長)。

 不動産の運用にあたっては税制も重要。私立学校を運営する学校法人が教育用に使用する不動産の取得税や固定資産税は地方税の特例措置で非課税とされているが、ビルの賃貸など教育と関係ない事業に使われる場合は課税対象となる。

 課税対象を厳しくチェックする地方自治体も増えている。不動産保有を続けながら事業展開する場合は、十分な収益を生み出すことができるか慎重な検討が必要となる。

私立学校の税制優遇措置
  
法人税>  
教育研究事業  非課税
収益事業    税率22%(株式会社等の場合は30%)。
収益事業所得の教育研究事業への支出は収入の50%まで損金算入可能  
その他>   所得税、登録免許税などが非課税