“格差社会”を緩和する最も有効な施策は、相続税増税及び各相続対策に対する更なる課税だと思います。誤解を招かないように述べれば、私有財産を否定する主旨では一切ありません。
 前々職、どちらかと言うと、相続対策などを施す側でモノを見ていました。あくまで一般論として、脱税的な手法はもっての他ですが、財産管理会社やレバレッジドリース、更には、TAX HEAVENのSPCやオフショア商品を相続対策として用いることに、どうしても違和感を感じる部分がありました。結局、その疑問に答えを見出すことが無かったので、現在に至った次第です。

 そもそも、相続対策を講じる大義として、「地域社会に責任を持ってきた資産家を保護することが地域コミュニティを再生することになる」との考え方があります。確かに、全国津々浦々において、“名士”といわれる方の中に、私利を捨てて、貢献している方々はたくさんいらっしゃいます。

 しかし、IT革命が齎した社会変革としての構造変化、即ち、フラット化した社会において、また、新しい組織としてのNPOやNGOの諸活動による公的機能・相互扶助機能の代替という観点から、最早、地域の名士を守ることが地域を守ることに繋がるという考え方は、破綻しているのではないかと考えます。

 前述の相続対策の大義を筋論で議論するならば、相続税対策を緩やかに認めることにあるのではなく、寧ろ、寄付税制などを整備することの方が、シンプル且つ明快な考え方ではないかと思います。

 こと税制は、あるべき国の姿を表す一つの鏡のようなものです。国家が国家たることを機能的に論ずれば、“徴税権”と“暴力の正当化(軍隊・警察)”という一面がありますので、税制というのは、国家の屋台骨のようなものだと考えます。

 私は、格差社会を取り繕ったような施策を講じるのではなく、相続税課税強化と寄付税制の創設、更には、直間比率の見直し(間接税強化)という視点で論じることが、“公平性”の観点からも有意義なのではないかと考えます。